ワトソン君、おにぎりが221円なのは妙じゃないか
コンビニのおにぎりが高い。
さっき鮭おにぎりを買おうとしたら221円だった。221円……?
ほう……。顎に手をやる探偵のポーズをして、おにぎりをつぶさに観察する。
「君が何にそんなにひっかかっているのか、私にはさっぱりわからないね。コンビニのおにぎりの値段が、そんなに気になるものかい。」
ワトスン君。
君はおにぎりを見ているが、観察はできていない。
このパリパリ海苔のおにぎりが221円というのはいささか妙だとは思わないか。
「妙?いや、おにぎりは元来そんなもんだろう。ほら、ちゃんと鮭も入っている」
いや、それは君が「手仕込みおむすび」の類を思い浮かべているからだ。
目の前にあるおにぎりをよく見たまえ、ワトスン君。
観察だ。ほんの些細な差異だ。
しかし見逃してはならない。
……これは鮭フレークなのだ。
「なるほど……。同じものを見ていたはずなのに、言われるまで気付かないものだな。確かにこれは鮭フレークだ。221円というのは、いかにもおかしい。」
三角の、海苔がパリパリのやつ。
真ん中のフィルムをピーッと剥がしてパカっと外す、あれが221円。
それは「手仕込みおむすび」といった、立派な名を冠したものの価格だろう。
包装はザラザラした和紙。海苔はしっとり直巻き。
具は鮭ハラミや、いくらだ。
明太マヨなど入る余地もない。
これなら221円でも納得がいく。
なのに鮭フレーク入りの三角パリパリおにぎりクンが、しれっと221円の席に座るんじゃない。
おにぎりコーナーから離れ、バウムクーヘンを買う。
わたしはバウムクーヘンを贔屓しているので、221円でもまあ許せる。
あとおにぎりは自分で作れるし。
紅茶味のバウムクーヘンを頬張ると、だいたいのことはどうでもよくなる気がする。
チャイラテも一緒に飲んだら、これは甘すぎた。



